首、肩こりは、あまりに日常的な症状で、軽くみられがちなものです。ずっと続いているためにあまり感じられなくなり、人に触れられて驚かれることで気づいた、という人も少なくありません。しかし、そうした症状がどこから来ているのか、単に目の疲れや事務仕事、コンピュータの操作のせいでカチカチになってしまうものなのか、改めて疑問に思ってみる必要があるのではないでしょうか。
首が辛い、首が回らない、寝違えをしやすい、頭が前傾している、肩こり、眼精疲労、頭痛、喉や胸の詰まった感じ、顎の疲れ、歯軋りなど、全て関連しているかもしれないのです。
単に症状を緩和する、楽にする、痛みをなくすという結果を出したとしても、これらの症状はぶり返しやすいものなのはお分かりでしょう。クライエントも「姿勢が悪いから」「目を使う仕事だから」「もう感じなくなっているから」と言いながら同じ痛みや不快感を持って何度も訪れ、「しばらくこれで楽になります」「またひどくなったら来ますね」と帰っていくとなると、プラクティショナとしてはお馴染みさんに来てもらって嬉しいと思うのか、それとも何かもっと別のアプローチをして根本的にクライエントの健やかさに貢献できるようにする手はないものかと考えるか…経験を重ねていくほど後者を選ぶようになるはずです。
私たちは、クライエントの直し屋・治し屋よりも、人生を歩むための伴走者・伴走者として付き添いたいものなのではないでしょうか。
別の考え方をするなら、身体が表している症状を手がかりとして、クライエントが人生をより心地よく、健やかに生きる手助けをする役割へと成長していく道を選ぶということであり、身体との関係性を変化させる手助けをすることで、クライエント自身も自分との付き合い方や身体の発する信号への態度を変えていく成長をするようになるのです。
ありふれた症状からそうした変化へと向かえるとしたら、それぞれのクライエントの症状もセッションももっと意義深さを感じるものになるのではないでしょうか。