Philosophy of Trillium Institute トリリアム インスティテュートの理念
継続学習の場
トリリアム インスティテュートは、米国でジャック ブラックバーンが設立しました。ボディワーカー・手技療法者として身体に触れる資格を得た後も、米国ではその資格継続のため継続学習単位の取得・申請が義務付けられています。日本では特定の国家資格以外には施術家としての資格や継続のための義務は(一部の手技を除いては)課されていないため、単位取得には意味を見出すことはないかもしれません。しかし、ジャックは2001年から日本に来るようになり、やはり日本のボディワーカーにも何らかの形での継続的な学習の場とサポートが必要であると感じました。
ボディワーク・手技療法、各種セラピー、カウンセリングといった職業は、そのサーヴィスを提供する人自身がひとりであることが多いものです。自営業であることはもちろん、どこかで同僚と仕事をしている(サロンや整体・リフレクソロジー・各種ボディワークの会社に雇われている)場合でも、クリニックでカウンセリングや理学療法を受け持ったり高齢者のための施設やディケアで仕事をしていたりするという環境でも、施術者・プラクティショナは自律していることが大変多いのではないでしょうか。特に独自の手技や特殊な手技、手法を実践する人の場合は、むしろ一人で開業する方が多いかもしれません。そうした環境は、気楽で好きな時間設定をできる利点があると同時に、孤独になりがちとも言えます。
日本には、全国を統一しての大規模な統合的ボディワークの協会は存在していません。各々の手技や国家資格での協会やグループ、認定機関はあっても、それぞればらばらで横のつながりを得ることも限られています。お互いがソーシャルメディアなどを通してつながりを得るのが現状と言えるでしょう。もちろん中には統合的な団体を創設しよう、あるいはそうした母体を育てようという活動もあるでしょう。また、大きな組織ではないそれぞれが存在する意義や利点があるという見解もあるので、いずれも肯定的な面と否定的な面があるといえます。
米国では、身体に触れる職業をする場合には、各州ごとに基準があるとはいえ、全米を統一するボディワークの協会が存在します。NCBTMT(全米治療マッサージ・ボディワーク認定評議会)とAMTA(米国マッサージ協会)がその代表です。これらの機関はプラクティショナ・セラピストのつながりを作るだけではなく、質の高い継続学習のために講師に厳しい認定制度を設け、認められた講師が継続学習単位を与えられる講師として登録されています。講師背景からも、ボディワーク(マッサージ・各種手技療法)も医療現場や治療と連携する体制が採られている州が多く存在します。ジャックはこの講師として認められおり、継続学習の重要性と技術面と精神面でのサポートに携わっていくことに大きな価値を見出しています。
トリリアム インスティテュートの理念
ジャックが教えるボディワークのクラスは、「ハンズ-オン」=手を置く、手で触れることの意味を重要視しています。私たち肉体を持つ人間にとって、触れることは必要不可欠かつ健やかさを保つ様子だからです。
以下はトリリアム インスティテュートが掲げるボディワークやケアに貢献していく教育理念の中の具体的な教育内容です。
・触知(触診)の技術を高める
・固有(自己)受容感覚(プロプリオセプション、proprioception)の探求
・ハンズ-オン セラピストの現実的な発展をめざす
・難易度の高いクライエント状態との取り組み
・クライエントに学んでもらうこと(双方の教育)
・身体中心のカウンセリング的な技術
・ボディワーク・セラピーに言葉でのやりとりを効果的に用いる手法
・その人自身のボディワークの発展をめざす
先にも述べたように、ジャック自身のボディワーカーとしての経験と教師・カウンセラー・テューターとしての経験から、ボディワーカー・手技療法か、セラピスト、ケアに携わる職業の方々へのサポートもトリリアム インスティテュートの理念の中核になります。
・スーパーヴィジョン(個人)
・仲間同士のスーパーヴィジョン(お互いにスーパーヴァイズをし合う方法の教育)
・倫理学
これらはクラスとして教えられている内容ですが、実際に現場で起こる問題やディレンマ(板挟みの状態)、外部や周りには相談ができないという孤立や悩みを抱え込まずに本業に向き合えるようにするためのサポートです。
ボディワーク・手技療法、セラピー、ケアに関わる職業のサポート
人の身体に触れ、人生に触れる職業は、その職業に就く人自身が映し出される場面を経験することになります。つまり、ケアをする相手が自分の鏡となってくれたり、相手の人生での肉体的・精神的な取り組みが自分自身と別の問題ではないことに気付いたりするのです。
人間の人生のどの段階でも、手で触れることは必要不可欠であり、私たち全てが本来必要とし、お互いが与えたり受けたりする営みです。また、言葉で「触れる」こともこの職業分野にとって重要な役割を果たします。人間のコミュニケイションとしての「触れる」営みは、私たち自身の生き方、人との関わり方、世界との関わり方への認識を広げてくれます。その分だけ、学ぶことも経験することも分かち合うことも豊かでもあり、時には圧倒されたり考えさせられたりすることもあり、立ち止まる必要が出てくることもあるかもしれません。
トリリアム インスティテュートは、ジャック ブラックバーンの35年以上にわたるボディワーカーとしての経験、人生で出逢った教師たちからの学び、ヒーリングとカウンセリングへと導かれた家族や友人たちとの深淵な人生経験、そして講師として培ってきた20年の教育経験をもってプラクティショナ・施術者、セラピスト、ケアワーカーのサポートと人々の心身・精神性の健やかさへの貢献をし続けていきたいと願っています。